私たちは、ふだんの生活である“ 日常時”と、地震や台風などによる自然災害や交通事故などによる人為災害といった“ 非常時”を繰り返すサイクルの中で暮らしています。
大きな災害や悲しい事故のたびに“ 備え”の意識は高まりますが、忙しい毎日のなかでいつ発生するか分からない非常時への対策はどうしても後回しになり、なかなか具体的な行動につながりません。「何をどのように備えたらいいか分からない」といった声も多く、備えられないまま今日も世界のどこかでさまざまな被害が繰り返し発生しつづけています。
そこで、発想を転換してみるのです。想像することが困難な非常時に対して備えるのではなく、日常時に利用している商品やサービスを非常時にも利用することができて、大切な人の安全や安心を守ってくれる。これが、フェーズフリーの基本的な考え方です。
フェーズフリーは商品やサービスのみならず、施設やインフラなど、身のまわりのあらゆる分野に広がり、取り組みも拡大しつつあります。しかし「フェーズフリーの考え方をどのように具体的な商品やサービスの開発に結びつければよいのか分からない……」という意見も多く、この『フェーズフリーデザイン事例集』を制作する運びとなりました。
ここでご紹介するのは、12のフェーズフリーデザイン事例です。できるだけ幅広いジャンルから、フェーズフリーな社会を実現するための価値が体現された事例を選定しました。これらは唯一の答えではなく、どのような点がフェーズフリーと評価できるポイントなのかを各事例と共に紹介することで、フェーズフリーの視点が多種多様なジャンルに活かせるものだと伝わることを願っています。この事例集が、皆さまの次なるアイデアやモノづくりのヒントになれば幸いです。